(54)【記述問題解説】サピックス6年 8月度入室・マンスリー実力テスト【大問3/問9】(2019年)
拙著『中学受験国語 記述問題の徹底攻略』の記述問題の書き方に則して、2019年度サピックス6年 8月度入室・マンスリー実力テスト 【大問3/問九】 を解説してみます。
問九 ―線⑧「QOLなんていうことも言われるようになってきました」とありますが、QOL(「(人)生の質」)が医療の分野で問題とされるようになったのはなぜですか。その理由を具体的に説明しなさい。
さて、この記述問題。まず記述問題のパターンは何でしょうか?
「~はなぜか?」「理由を説明しなさい」などとあることからもわかるように、「理由問題」ですね。(『記述問題の徹底攻略』p.39参照)
では「理由問題」の書き方の手順にそって書いていきます。
手順❶傍線部を「結果」としたときの「原因・理由」にあたる部分を本文から見つける。(『記述問題の徹底攻略』p.39参照)
これは傍線部⑧の直前にありますから、すぐに見つけられますね。
〈そうした量、手段にばかり注目してきたことを反省して〉がその「原因・理由」でしょう。ただし、本当にここでいいのか、いつも次の手順❷を踏んで確かめておきます。
手順❷「原因・理由」と「結果(傍線部)」の因果関係が正しいかどうかを調べるために、「原因・理由+結果(傍線部)」の文を作って確かめる。(『記述問題の徹底攻略』p.39参照)
さきほど本文から見つけた「原因・理由」と思われる部分を、「結果」である傍線部につなげて因果関係が正しいかどうか確かめてみると、(接続部分はうまくつながるように適宜言葉を補います)
→そうした量、手段にばかり注目してきたことを反省したために、QOLなんていうことも言われるようになってきました
となり、因果関係は正しいので、さきほど見つけた〈そうした量、手段にばかり注目してきたことを反省して〉が傍線部⑧に対する「原因・理由」だとわかります。
ではこれをもとにして、解答を「そうした量、手段にばかり注目してきたことを反省したから。」などとしてもよいでしょうか?
ダメですね。
なぜダメなのでしょうか?
記述問題の解答において最も大切なことは、「わかりやすい解答を書く」ということです。
もっといえば、「本文を読んだことがない人にも意味の通じる解答を書く」ということですね。(『記述問題の徹底攻略』p.17参照)
「そうした量、手段にばかり注目してきたことを反省したから」のままの解答では、
「そうした量、手段ばかりに注目してきたこと」とはどんなことを指すのかがよくわかりませんよね。(特に「そうした量、手段」という指示語が何を指しているのか)
ですから〈解答のルール② 指示語・比喩・わかりにくい表現は言いかえる〉を使って、「そうした量、手段ばかりに注目してきたこと」とはどんなことを指すのか、別のわかりやすい言葉に言いかえる必要があるわけです。(『記述問題の徹底攻略』p.19参照)
では、「そうした量、手段ばかりに注目してきたこと」とはどんなことを指すのか?
これを本文から見つけていきましょう。
指示語ですから、基本的には前から探します。
すると、問題用紙P.4の13行目~14行目に、
〈「よく生きる」とは何か、特に「よく」とは何かといった倫理的な問題は置き去りにして、ともかく「生きる」ことだけを、量的に増やす手段としての医療技術が発達してしまった〉
という部分が見つかります。
しかし、これもよくわかりにくい表現なんですよね。
ですから、ここも本文の言葉を利用して、例えば次のようにわかりやすく言いかえる必要があると思います。(特に「よく」=「質」=「幸せ」という文脈に注意)
「よく生きる」とは何か、特に「よく」とは何かといった倫理的な問題→幸せに生きるとはどういうことか
「生きる」ことだけを、量的に増やす手段としての医療技術→患者を長く生かすことばかりを目的とした延命技術
これもさきほどの〈解答のルール② 指示語・比喩・わかりにくい表現は言いかえる〉を適用しています。(『記述問題の徹底攻略』p.19参照)
さて、これでなんとか解答になりそうです。
手順❸「原因・結果」の部分を「わかりやすい解答」に整える。(文末は「~から」)(『記述問題の徹底攻略』p.39参照)にしたがって書くと、例えば次のような解答が考えられます。
【解答例】患者を長く生かすことばかりを目的とした延命技術が発達し、幸せに生きるとはどういうことかを置き去りにしてきたことを反省したから。
サピックスが発表している模範解答とは多少異なる部分もありますが、まずはこれだけ書ければ十分という解答例を示しました。(そもそも生徒さんの解答は模範解答通りにはなりませんし、模範解答と同様の解答を必ずしも書けなくてもよいという旨は拙著p.63をご参照ください)
ただし、太字にした「延命技術」「幸せ」といった言葉は本文の文脈上重要な言葉と考えられますからぜひ入れたいところです。

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若杉国語塾 新規開塾!2019年9月23日(月)から授業スタート!
若杉国語塾は、『中学受験国語 記述問題の徹底攻略』の著者・若杉朋哉が直接指導する中学受験国語専門塾です。
1クラス最大6名までの少人数制で、記述問題対策に特化した授業を行います。
◆クラスについて
・2019年度はJR池袋駅前の「フリースペース」を使用しての授業を予定しております。
・2019年度の授業日は毎週月曜日のみ。
授業時間帯は①17:10~19:10 ②19:30~21:30の2クラスを予定。(1クラス最大6名の少人数制)
〈対象生徒〉
・筑駒、開成、麻布、武蔵、駒東、栄光、芝など、記述問題を中心とした出題傾向の中学を受験予定の小6男子。
〈費用〉
・授業料…1回120分 12,000円(毎週1回受講で月4回の場合、12,000円×4回=月額48,000円)
・入会金…10,000円(ただし、2019年度のみ免除)
・体験授業は、1回分の授業料のみで受けることができます。
◆入塾のご案内
若杉国語塾では現在、志望校合格を目指して一緒に勉強する仲間を募集しています。
以下の内容をお読みの上、入塾のお申込み・お問い合わせをいただけますと幸いです。
1)若杉朋哉著『中学受験国語 記述問題の徹底攻略』 (2019年9月4日発売) をお読みいただき、指導方法にご納得いただいた上で、入塾のお申し込みをしていただいております。
2)代表若杉が一人で責任を持って指導する塾のため、過去の入試問題研究もすべて一人で行っております。質の高い指導をする上で、膨大な量の入試問題を解き、研究する必要があります。特に担当する生徒さんの受験校は10年分以上の研究をすることを自分に課しています。そのため、すべての生徒さんを受け入れることになりますと、ありとあらゆる入試問題を研究する必要が発生し、時間の制約上、実際問題としてなかなか困難です。したがいまして、2019年度は「男子校を受験予定の小6男子生徒のみ」の募集とさせていただいております。何卒、ご理解くださいますようお願い申し上げます。
3)なお、1クラス最大6名までの少人数制のため、定員に達し次第、募集は締め切りとなります。ご了承くださいませ。
入塾または体験を希望される方は、件名を「若杉国語塾入塾希望」として、下記メールより、「氏名(保護者様および生徒様)」「電話番号」を明記の上、お申込みください。
wakasugitomoya☆yahoo.ne.jp
(☆は@に変換してください)
「体験授業のご案内」のメールを、原則として24時間以内に返信いたします。
第一回授業は、9月23日(月)を予定しております。
◆入塾までの流れ
1)メールにてお送りした「体験授業のご案内」の日時に、体験授業を受けてください。(体験授業は1回120分の授業料 12,000円 のみで受けることができます。)
2)体験授業後、正式に入塾を希望される場合には、入塾手続きを行います。
次回授業時に、入塾申込書の提出と入塾金10,000円の納入をしていただきます。(ただし、2019年度のみ、入塾金10,000円は免除とさせていただいております。)
これにて入塾の手続きは終了です。

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問九 ―線⑧「QOLなんていうことも言われるようになってきました」とありますが、QOL(「(人)生の質」)が医療の分野で問題とされるようになったのはなぜですか。その理由を具体的に説明しなさい。
さて、この記述問題。まず記述問題のパターンは何でしょうか?
「~はなぜか?」「理由を説明しなさい」などとあることからもわかるように、「理由問題」ですね。(『記述問題の徹底攻略』p.39参照)
では「理由問題」の書き方の手順にそって書いていきます。
手順❶傍線部を「結果」としたときの「原因・理由」にあたる部分を本文から見つける。(『記述問題の徹底攻略』p.39参照)
これは傍線部⑧の直前にありますから、すぐに見つけられますね。
〈そうした量、手段にばかり注目してきたことを反省して〉がその「原因・理由」でしょう。ただし、本当にここでいいのか、いつも次の手順❷を踏んで確かめておきます。
手順❷「原因・理由」と「結果(傍線部)」の因果関係が正しいかどうかを調べるために、「原因・理由+結果(傍線部)」の文を作って確かめる。(『記述問題の徹底攻略』p.39参照)
さきほど本文から見つけた「原因・理由」と思われる部分を、「結果」である傍線部につなげて因果関係が正しいかどうか確かめてみると、(接続部分はうまくつながるように適宜言葉を補います)
→そうした量、手段にばかり注目してきたことを反省したために、QOLなんていうことも言われるようになってきました
となり、因果関係は正しいので、さきほど見つけた〈そうした量、手段にばかり注目してきたことを反省して〉が傍線部⑧に対する「原因・理由」だとわかります。
ではこれをもとにして、解答を「そうした量、手段にばかり注目してきたことを反省したから。」などとしてもよいでしょうか?
ダメですね。
なぜダメなのでしょうか?
記述問題の解答において最も大切なことは、「わかりやすい解答を書く」ということです。
もっといえば、「本文を読んだことがない人にも意味の通じる解答を書く」ということですね。(『記述問題の徹底攻略』p.17参照)
「そうした量、手段にばかり注目してきたことを反省したから」のままの解答では、
「そうした量、手段ばかりに注目してきたこと」とはどんなことを指すのかがよくわかりませんよね。(特に「そうした量、手段」という指示語が何を指しているのか)
ですから〈解答のルール② 指示語・比喩・わかりにくい表現は言いかえる〉を使って、「そうした量、手段ばかりに注目してきたこと」とはどんなことを指すのか、別のわかりやすい言葉に言いかえる必要があるわけです。(『記述問題の徹底攻略』p.19参照)
では、「そうした量、手段ばかりに注目してきたこと」とはどんなことを指すのか?
これを本文から見つけていきましょう。
指示語ですから、基本的には前から探します。
すると、問題用紙P.4の13行目~14行目に、
〈「よく生きる」とは何か、特に「よく」とは何かといった倫理的な問題は置き去りにして、ともかく「生きる」ことだけを、量的に増やす手段としての医療技術が発達してしまった〉
という部分が見つかります。
しかし、これもよくわかりにくい表現なんですよね。
ですから、ここも本文の言葉を利用して、例えば次のようにわかりやすく言いかえる必要があると思います。(特に「よく」=「質」=「幸せ」という文脈に注意)
「よく生きる」とは何か、特に「よく」とは何かといった倫理的な問題→幸せに生きるとはどういうことか
「生きる」ことだけを、量的に増やす手段としての医療技術→患者を長く生かすことばかりを目的とした延命技術
これもさきほどの〈解答のルール② 指示語・比喩・わかりにくい表現は言いかえる〉を適用しています。(『記述問題の徹底攻略』p.19参照)
さて、これでなんとか解答になりそうです。
手順❸「原因・結果」の部分を「わかりやすい解答」に整える。(文末は「~から」)(『記述問題の徹底攻略』p.39参照)にしたがって書くと、例えば次のような解答が考えられます。
【解答例】患者を長く生かすことばかりを目的とした延命技術が発達し、幸せに生きるとはどういうことかを置き去りにしてきたことを反省したから。
サピックスが発表している模範解答とは多少異なる部分もありますが、まずはこれだけ書ければ十分という解答例を示しました。(そもそも生徒さんの解答は模範解答通りにはなりませんし、模範解答と同様の解答を必ずしも書けなくてもよいという旨は拙著p.63をご参照ください)
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若杉国語塾 新規開塾!2019年9月23日(月)から授業スタート!
若杉国語塾は、『中学受験国語 記述問題の徹底攻略』の著者・若杉朋哉が直接指導する中学受験国語専門塾です。
1クラス最大6名までの少人数制で、記述問題対策に特化した授業を行います。
◆クラスについて
・2019年度はJR池袋駅前の「フリースペース」を使用しての授業を予定しております。
・2019年度の授業日は毎週月曜日のみ。
授業時間帯は①17:10~19:10 ②19:30~21:30の2クラスを予定。(1クラス最大6名の少人数制)
〈対象生徒〉
・筑駒、開成、麻布、武蔵、駒東、栄光、芝など、記述問題を中心とした出題傾向の中学を受験予定の小6男子。
〈費用〉
・授業料…1回120分 12,000円(毎週1回受講で月4回の場合、12,000円×4回=月額48,000円)
・入会金…10,000円(ただし、2019年度のみ免除)
・体験授業は、1回分の授業料のみで受けることができます。
◆入塾のご案内
若杉国語塾では現在、志望校合格を目指して一緒に勉強する仲間を募集しています。
以下の内容をお読みの上、入塾のお申込み・お問い合わせをいただけますと幸いです。
1)若杉朋哉著『中学受験国語 記述問題の徹底攻略』 (2019年9月4日発売) をお読みいただき、指導方法にご納得いただいた上で、入塾のお申し込みをしていただいております。
2)代表若杉が一人で責任を持って指導する塾のため、過去の入試問題研究もすべて一人で行っております。質の高い指導をする上で、膨大な量の入試問題を解き、研究する必要があります。特に担当する生徒さんの受験校は10年分以上の研究をすることを自分に課しています。そのため、すべての生徒さんを受け入れることになりますと、ありとあらゆる入試問題を研究する必要が発生し、時間の制約上、実際問題としてなかなか困難です。したがいまして、2019年度は「男子校を受験予定の小6男子生徒のみ」の募集とさせていただいております。何卒、ご理解くださいますようお願い申し上げます。
3)なお、1クラス最大6名までの少人数制のため、定員に達し次第、募集は締め切りとなります。ご了承くださいませ。
入塾または体験を希望される方は、件名を「若杉国語塾入塾希望」として、下記メールより、「氏名(保護者様および生徒様)」「電話番号」を明記の上、お申込みください。
wakasugitomoya☆yahoo.ne.jp
(☆は@に変換してください)
「体験授業のご案内」のメールを、原則として24時間以内に返信いたします。
第一回授業は、9月23日(月)を予定しております。
◆入塾までの流れ
1)メールにてお送りした「体験授業のご案内」の日時に、体験授業を受けてください。(体験授業は1回120分の授業料 12,000円 のみで受けることができます。)
2)体験授業後、正式に入塾を希望される場合には、入塾手続きを行います。
次回授業時に、入塾申込書の提出と入塾金10,000円の納入をしていただきます。(ただし、2019年度のみ、入塾金10,000円は免除とさせていただいております。)
これにて入塾の手続きは終了です。

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